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脳が壊れる ~ゲーム依存という病気~ 

先日、息子と一緒に本を読んでいたときのこと。

絵本の中に牛の絵が描いてあったので、

「ほら、牛さんだよ。モー!」

と言うと息子が、「んっ!」と言いながら私の顔を指さしてきました。

「いやいや、これはお父さんでしょ。そうじゃなくてこれは牛さんだよ、モー!」

と言うとまた、「んっ!」と言いながら私の顔を指さしてきます。

何でかなぁ、としばらく考えていたら、息子と一緒にいるときの私の口癖が理由だと分かりました。

「ちょっとちょっとやめてぇ、もー!」

「ああ、それ投げないで、もー!」

「そんなところ触らなくていいよ、もー!」

、、、普段の言葉に気を付けようと思った出来事でした。

 

前回のブログでは、動けなくなったお子さんに必要なものは、まず心穏やかに休むこと、と述べました。

環境 ~動けなくなった子どもに必要なもの~

休ませるといっても、ただ学校に行かず家にいるだけでは、休めていることにはなりません。

心穏やかに休むためには、必要なものがあります。

私が考える必要なものは以下の三つです。

1、責められないこと

2、共感的な雰囲気

3、力を奪うものから遠ざけること

学校に行かず家にいるお子さんを責めないこと。

受容的な雰囲気で接すること。

ゲームやネットなどの依存症に陥らないように気をつけること。

心穏やかに休むためには、この3つがそろっていること大切です。

それではなぜ、受容的な態度ではなく、お子さんを責めてしまうのか、そしてなぜお子さんはゲームの世界に依存するのか?というところで前回は終わりました。

なぜお子さんはゲームに依存するのでしょうか?

その理由を考える前に、今日はゲーム依存とは具体的にどのようなものかを考えてみたいと思います。

 

ゲーム依存、正式には「ゲーム障害」と言います。

2019年5月、WHOが新しい疾病として認定しました。

2017年のデータですが、日本には成人で421万人、中高生で93万人いると言われ、ネット依存のうち90%がゲーム依存であると考えられています。

ゲームに依存すると、日常生活に様々な問題が現れます。

その例を以下に示します。

・欠席、欠勤

・昼夜逆転

・朝起きられない

・ひきこもり

・イライラしてモノを壊す

・家族に暴力をふるう

上記に加え、症状がひどくなると、幻覚や幻聴の症状が現れたり、まっすぐ歩けなくなったり、長時間同じ姿勢でいるため、血栓ができてエコノミークラス症候群になったりする場合もあります。

 

それではなぜこのような問題が起きてしまうのでしょうか?

それはゲーム依存が人の脳を壊すからです。

人の行動は、脳の前頭前野と大脳辺縁系によってコントロールを受けています。

通常は、人間の理性を司る前頭前野の活動が優位で、本能や感情を司る大脳辺縁系の働きを制御しているのですが、

ゲーム障害になると、前頭前野の働きが不活発になり、大脳辺縁系の活動が優位になってしまうため、本能や感情に支配され、自制的ふるまいが出来なくなってしまうのです。

このように脳が壊れてしまうことが、問題行動を引き起こす原因です。

 

様々なお宅にお邪魔していると、特に男の子を持つ親御さんが、休みの日はずっとゲームしているけど、依存症ではないのか?と心配されている場合が多いです。

ゲーム依存の診断は専門医によって、以下の基準でなされています。

・ゲームのコントロールが出来ない

・他の生活の関心事、日常の活動よりゲームが優先される

・問題が起きているにも関わらず、ゲームを続けてしまう

・個人、家族、社会における学業上、職業上の機能を果たすことが出来ない

・上記4つがすべて当てはまり、その状態が12か月以上続く

このような基準により診断が下され、カウンセリングや認知行動療法による治療が始まります。

それでも改善が見られない場合は、数か月ネット環境の無い病院で入院治療が行われます。

 

ゲーム依存の兆候としては以下のようなものがあります。

・使用時間がかなり長くなった

・朝起きられない

・絶えずゲームのことが気になる

・他のことに興味を示さない

・注意すると激しく怒る

・使用時間や内容などについて嘘をつく

・課金が多い

ゲーム依存は病気です。

もし上記のような兆候が見られる場合は、まず専門機関に一度ご相談されてみる事をお勧めします。

新潟ですと、下記の医療機関で依存症の相談が出来ます。

さいがた医療センター ゲーム・インターネット依存外来

 

動けなくなったお子さんが陥りやすいゲーム依存とはどのようなものかについて見てきました。

それではなぜ、子どもたちはゲームの世界に閉じこもるようになるのか、次回はその背景を考えてみたいと思います。

続きます。

参考図書:ネット依存症 樋口進 著

参考サイト:ゲーム障害の症状、治療法

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