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環境 ~動けなくなった子どもに必要なもの~

私の母は私が小学生の頃から畑で野菜を育てています。

二週間くらい前でしょうか、目が出たばかりだったミニトマトが、先日畑に行くと20センチくらいまで伸びていました。

植物の伸びようとする力、生きようとする力にしみじみと感じ入るものがありました。

一つ一つの生命には生きようとする力、伸びようとする力が内在している。

そうであるならば、それを支える人間にできることは、適切な環境を整えてあげる事。

そしてその環境は、決してその生きようとする意志を歪ませるようなものであってはならない。

グングン伸びゆくトマトに、一緒に学習している子どもたちの姿が重なって見えました。

私は彼らにとって適切な環境を提供できているのだろうか?

そんな問いが浮かんで来ました。

 

先日のブログでは、

子どもが、明るく元気で聞き分けのいい「良い子」を演じるのは、周囲の期待に応えるため、評価を得るため、であること、

本来の自分の願望を押し殺し、無理に良い子を演じ続けることで、周囲に対して怒りや憎しみが堆積し、それが限度を超えたとき、動けなくなること、

について綴りました。

「良い子」の仮面の裏側で ~なぜ動けなくなるのか~

引きこもりや不登校をすべてこのストーリーで説明することはできません。

あくまでも私の知る限りでは、このようなケースが多くみられるということです。

評価の眼差し過剰な社会で、評価を得るために無理をし続けてきた結果動けなくなった子ども。

その子どもに必要なものとは、何でしょうか?

 

お子さんが動けなくなったとき、多くの親御さんが取られる態度は、𠮟咤激励して学校に行かせようとすること、だと思います。

一時的にそれで乗り越えられたとしても、その状態が長続きすることはありません。

またしばらくすると動けない状態に戻るお子さんが多いです。

今までずっと頑張ってきたお子さんに必要なのは、さらに頑張ることではなく、まずは休むことです。

一口に休むと言っても、ただ休んでいればいいわけではありません。

休むためにも押さえておかなければならないことがあります。

 

動けなくなったお子さんに必要なもの。

その子が今どのようなプロセスにいるかによってそれは変わってくるのですが、

ここでは動けなくなった最初期に必要なものについて考えてみたいと思います。

私の考える必要なもの、以下の三つです。

1、責められないこと

2、共感的な態度

3、力を奪うものから遠ざけること

一つ一つを見ていきたいと思います。

 

1、責められないこと

たとえ学校を休んでいても、休んでいることに罪悪感を抱くような環境であれば、休めていることにはなりません。

「いつまで休んでいるつもりなの!」、「明日は学校に行きなさいよ!」などの言葉がけや、お子さんの顔を見るたびにため息をついたりする態度など、

休んでいる期間が長くなるにつれ、そばにいる親御さんもイライラが募ってついついこのような言動をとってしまいがちなのですが、

休んでいることに罪悪感を抱いてしまうような環境に身を置いても、それはただ学校に行っていないというだけで、休めていることにはならないのです。

それでは、どうするか?

2に続きます。

 

2、共感的な態度

評価の眼差しが過剰になった世界に必死に適応しようとして、疲れて動けなくなってしまった。

そのような状態のお子さんには共感的な態度で接することが必要です。

共感的な態度で接するとは、どのようなものをいうのでしょうか?

共感の示し方は様々だと思います。

例えば、お子さんの身体をマッサージしてあげるとか、

嫌がらないのであれば、頭を撫でてあげるとか、

好きな食べ物を作ってあげるとか、

お子さんのしてくれたほんのちょっとしたことにでも「ありがとう」と言い続けるとか、

返事が返ってこなくても毎朝「おはよう」と声をかけ続けるとか、

もし話をしてくれるようになったら、お子さんの話に共感的に耳を傾けるとか、

その方法は本当にさまざまだと思います。

そういう態度で接し続けることで、評価や競争の世界で強張っていたお子さんの気持ちが徐々に和らいでいきます。

 

3、力を奪うものから遠ざけること

2で共感を示すことが大切と述べましたが、共感を示すことは、言いなりになることではありません。

心穏やかに休むためには、力を奪うようなものから、お子さんを遠ざける必要があります。

そのためには、「ダメなものはダメ」と毅然とした態度をとることも必要です。

お子さんの力を奪うものとはなんでしょうか?

大人でも子どもでも、直面したくない現実から目をそらすために、別の世界に逃避してしまうことがあります。

それが一時的であれば問題はありませんが、その逃避状態が常態化してしまうのは問題です。

逃避状態の常態化とは、何かに依存することです。

依存する対象は人により様々ですが、大人であれば、アルコール、ギャンブル、薬物などがありますし、

子どもであれば今一番気を付けなければいけないのは、ネットとゲームです。

ネット・ゲーム依存症になると、ゲームのこと以外考えられなくなり、ご飯も食べずに一日中やり続け、自分の意志で止められなくなったり、ひどくなると幻覚や幻聴、歩行困難などの症状が出ることもあります。

このような状態に至っては、心穏やかに休むことは不可能です。

そのような状況にならないために、お子さんの力を奪うものから適切な距離を取らせることが必要です。

 

評価の眼差し過剰の社会で疲弊したお子さんが、心穏やかに休むために必要な環境について考えてきました。

私が考える心穏やかに休むために必要なものは

1、責められないこと

2、共感的な態度

3、力を奪うものから遠ざけること

の3つです。

それでは、お子さんのそばで支援する親御さんが、1のような状態に至らず、2のような態度でお子さんと向き合うために必要なものとは何でしょうか?

そしてなぜ子どもはゲームやネットの世界に居場所を見出そうとしてしまうのでしょうか?

今日はまた長くなってしまいましたので、次回以降考えてみたいと思います。

続きます。

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