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揺れつ戻りつ思春期の峠

一冊書籍のご紹介です。

私が子どもたちとの関わり方についてたくさんのヒントを頂いた一冊です。

「揺れつ戻りつ思春期の峠」 高垣忠一郎 著

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思春期とは、親の価値観から離れて自分の価値観を形作っていく、大人への過渡期です。

あっちにぶつかり、こっちにぶつかり、様々なトライ&エラーを繰り返しながら、自分という人間を作り上げていく時期です。

自分の価値観を形作るというのは、直線的なプロセスではありません。

進んでみては壁にぶつかり、引き返したり、しゃがみ込んだりすることもあります。

そしてそれは一人で歩めるプロセスでもありません。

「親からの自立を果たす」という仕事は、その性質上親と子だけで果たせるものではありません。親以外の大人を必要とする仕事です

しかし、今の世の中は、効率やコストパフォーマンスばかりを重視し、子どもたちに直線的な成長を強要します。

そして何か問題が起こる度に学校批判を繰り返し、学校の先生から、親以外の大人として子どもたちと接する気持ちのゆとりを奪ってしまいました。

お子さんの不登校や引きこもりで悩んでいる親御さんは、自分たちの育て方が原因なのではとご自身を責める方が多いのですが、私はそれは違いますとお伝えしています。

今まで書いて来たように、世の中の構造が、親からの自立を果たすために必要な環境を子どもたちから奪っていることが、本当の原因です。

この世の中には、効率やコストパフォーマンスを重視する、というビジネスのルールを当てはめてはならない分野があります。

医療、宗教、行政、農林漁業、そして教育。

人が人らしく生きていくために必要不可欠なこれらの領域にまで、ビジネスのルールを当てはめ、余裕の無い大人をたくさん生み出した結果、子どもたちが自立のプロセスで躓いて苦しんでいる。

それが不登校や引きこもりという現象を引き起こしている原因だと私は考えています。

著者の高垣忠一郎さんは、臨床心理士として、大学教授として数十年にわたり、子どもたちの引きこもり、不登校に関わって来た方です。

本著では、親からの自立を果たす思春期が子どもたちにとってどんな時期で、どんなことが起こり、どんな関わり方が必要か、たくさんの事例とともに紹介されています。

お子さんの不登校、引きこもりに悩まれる親御さん、中高生と関わる先生や大人にぜひ手にとって頂きたい一冊です。